歯周病治療|駒澤大学駅・世田谷区野沢の歯医者・歯科ならアモリス歯科クリニック

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歯周病治療

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歯の周りには何がある?

歯周病とは、りの病気と書くように、歯ではなく、「歯の周り」が壊れていく病気です。

その「歯の周り」にあって歯を支える役割をしているもののことを、専門的に「歯周組織」と言います。
虫歯は、虫歯治療・根の治療のページでご説明した通り、歯そのものが壊れる病気ですが、歯周病では、歯そのものは壊れません。

では、「歯周組織」には何があるのでしょうか?

お口の中を覗いてみると…まず歯の周りにあるものといえば、歯茎ですね。
でも、「歯周組織」は歯茎だけではありません。
歯茎の下にはまだ隠れているものがあるのです。

下の断面図をご覧いただくと…

歯の周りには何がある?

実は、歯茎の下には骨が隠れています。
この骨は「歯槽骨」と呼ばれます。
歯はこの「歯槽骨」に根を伸ばしており、「歯槽骨」が歯を支えることで、歯は力を受け止めることができているのです。

お口以外にも悪影響!悪名高き歯周病

歯茎や「歯槽骨」などの「歯周組織」を歯周病で失うと、歯は支えを失い、力に耐えられなくなってぐらぐらと揺れ始めます。

重度の歯周病では、ある朝、歯を磨いていたら突然お口の中から歯がゴロリと出てきた!…なんてことも起こります。
歯周病で「歯周組織」が完全に失われると、歯を支えるものが無くなり、歯がおのずと抜けてしまうのです。
歯が自然と抜けてしまうなんて信じられない!思う方もいらっしゃるかもしれません。
ところが、歯周病は「世界で最も蔓延している病気」として、ギネスブックに載ったこともあるほど、非常にポピュラーな病気です。
その上、歯周病は歯を失う理由ナンバーワンに君臨しています。
もし将来ご自身の歯を失うことがあるならば、その時の原因は歯周病である可能性が高いと言えるでしょう。

なおかつ、歯周病があると、糖尿病や早産、低体重児出産、肥満、動脈硬化などのリスクが高まるということが、近年分かってきています。
特に糖尿病との関連性は注目されており、歯周病を治療することで糖尿病の病状が改善するということも分かってきています。

歯周病は、多くの人が持つ国民的な病気にも関わらず、歯を奪うだけでなく、お口以外にも悪影響を及ぼす、大変悪名高い病気なのです。

歯周病はどのようにして「歯周組織」を壊すのか?

そんな恐ろしい歯周病は、どのようにして起こるのでしょうか。
ここからは歯周病の原因をご説明します。

と言っても、虫歯と同様に歯周病も色々な要素が複雑に絡み合って起こる病気で、その全てをご説明することは困難を極めますが、歯周病の第一の原因は、やはり細菌です。

お口の中は体の中で最も多くの細菌が棲んでいますが、その中には虫歯菌だけでなく、歯周病菌もいます。
中でも、代表的な歯周病菌はジンジバリス菌(Porphyromonas gingivalis)などのレッドコンプレックスと呼ばれる細菌たちで、非常に病原性が高く、この細菌たちがお口の中にいると歯周病が急速に進行すると分かっています。

では、この歯周病菌たちはどのようにして、「歯周組織」を壊してしまうのでしょう。
虫歯は、虫歯菌が出す酸によって歯が溶けることで歯が壊れていく病気でしたね。(詳しくは虫歯治療・根の治療のページをご覧ください)

一方で、歯周病において、歯周病菌が起こすのは「炎症」です。

「炎症」とは、体が自分自身を感染や損傷から守るために起こす反応です。
…と言われてもイメージが少し持ちづらいかもしれません。

例として、転んで擦り傷を作ってしまった膝小僧を想像してみてください。
転んだ後の膝小僧はどうなるでしょう?
傷が少しずつジンジンと痛くなり、傷の周りが少し温かくなって赤く膨らみますね。
この時、膝小僧で起こっているのが「炎症」です。
膝小僧の中では、破れた皮膚を修復したり、傷口から体の中へ入ってきた細菌をやっつけたりするために「炎症」が起こるのです。

さて…ここからは恐ろしいことを少し想像していただきます。

この膝小僧の傷口に、細菌たっぷりの泥にまみれた非常に不潔な包帯を巻きつけるとどうなるでしょう。
ほとんどの方はそんなことをしたことがないので、想像ができないかもしれませんが…

膝小僧では、汚れた包帯から体の中に入ってくる細菌を倒すための「炎症」が起き続けます。
すると、「炎症」によって膝小僧はますます腫れ、膿が出ます。
しかし、どれだけ「炎症」を起こして細菌を倒しても、包帯から細菌がひっきりなしに体内に入ってくるので、膝小僧は細菌に侵され、腐っていきます。
そして最後には、膝小僧は腐り果て体から失われてしまうでしょう。
膝小僧が無くなったことで一緒に不潔な包帯も外れ、細菌の侵入が止み、炎症が収まりますが、もうその足では歩くことはできません。
(余談ですが、現実には足が無くなる前に敗血症という病気で命を落とすのではないかと思います。)

かなり恐ろしい話でしたね…。
怪我したら、傷はよく洗って消毒し清潔を保つよう言われるのはこのためです。

それはさておき、なんと歯周病ではこの膝小僧と同じことが起こっているのです。

この膝小僧に巻いた細菌まみれの不潔な包帯は、歯周病における歯石です。
歯石とは、お口の中の汚れ、いわゆる歯垢(プラーク)と呼ばれる細菌の塊が石のように固まって歯の表面にへばりついたものです。

歯石を除去すると、その下の歯茎は「炎症」を起こし、赤く腫れている。

矢印が歯石。歯石を除去すると、その下の歯茎は「炎症」を起こし、赤く腫れている

この歯石が、歯を支える歯茎や骨、すなわち「歯周組織」に「炎症」を起こします。
歯石は、歯石自身が毒素を出したり、歯周病菌の住処になったりすることで、「炎症」を起こし続けるのです。
しかし、歯石は歯にへばりついて取れないので、どれだけ「炎症」を起こしても、毒素や細菌が「歯周組織」へ入り続けます。
そして最後には、腐り落ちた膝小僧と同じように、歯が抜けます。
すると、歯についていた歯石も一緒に無くなり毒素や細菌の侵入が止み、炎症が収まりますが、そこではもう噛むことができなくなってしまうのです。

…というのが、歯周病で歯を失う過程です。

ちなみに、「歯周組織」に「炎症」が起きる原因は、細菌だけではありません。
歯への異常な力や異物、口呼吸による乾燥などによっても同じような炎症が起こります。
これらも歯周病を治療する上で非常に重要な要素です。
(異常な力については、詳細を成人矯正のページでご説明しております)

ここまでの説明で、思っていたよりも歯周病は恐ろしい病気だと感じた方もいらっしゃるかもしれません。
さて、この恐ろしい歯周病はどのように治療をするのでしょうか?

歯周病の治療の流れ

歯周病の治療の基本は、原因となっている細菌、すなわち歯垢や歯石を取り除くことです。
特に歯石は歯ブラシでは取り除くことができないので、歯医者さんでの治療によって取り除く必要があります。

歯石の除去は体への負担が少ない処置からステップを踏んで行います。
それぞれのステップが終わるごとに、検査による「歯周組織」の状態の確認し、次のステップの処置が必要かどうかを判断します。
具体的には、以下の処置を行います。

スケーリング

1.スケーリング

超音波の機械などを用い歯石を取り除く処置です。

SRP

2.SRP

歯茎の中の深いところまで器具を入れ、歯石を掻き出すことで、「スケーリング」では取り除けない、歯茎の奥にたまった歯石を取り除く処置です。
ほとんどの場合、麻酔をして回数を分けて行います。

歯周外科治療

3.歯周外科治療

SRPでも取り除けない歯石を取り除くための小手術です。歯茎の奥に潜む歯石を直接見ることができるように、歯茎を切って開いた上で歯石を除去します。
この段階で「歯周組織再生療法」の併用をおすすめする場合もあります。
「歯周組織再生療法」とは、「炎症」によって失われた「歯周組織」を、特殊な材料を用いることで再生する治療です。

以上の過程の中で、歯周病のリスク軽減や治療の安全性確保のため、以下のことも同時に行います。

  • 糖尿病など全身疾患がある場合は主治医の先生との連携
  • 噛み合わせの調整、ぐらぐらな歯の固定、治療用入れ歯の製作などによる力のコントロール
  • 合いの悪い詰め物・被せ物などの汚れが停滞しやすいものの修正や除去

など

また、あまりにも歯周病が進行してしまい、以上の治療を行っても痛みや腫れが引かなかったり、他の歯に悪影響を及ぼしたりする可能性のある歯については、抜歯がやむを得ない場合もあります。

いずれの場合も、当院では、十分な説明と相談の上、患者様一人一人の背景に合わせて治療を進めていきます。

歯周病は生活習慣病

以上の治療に加え、何より大切なのは「管理」です。
以上のような治療をしっかり行うことも大切ですが、いくら治療をしても、歯磨き習慣や食生活の問題、喫煙習慣などがある場合には、歯周病の進行を抑えることが困難です。

歯周病は生活習慣病の一つです。

治療終了後も、歯周病の進行を予防する生活習慣の「管理」を継続的に行う必要があります。
そのサポートについては、歯磨きなど、お口の中の衛生状態の管理については、歯科衛生士が、(詳細は予防歯科のページをご覧ください)
食生活、すなわち栄養管理については、管理栄養士が、(詳細は口腔機能・栄養のページをご覧ください)
それぞれ専門的な知識と技術をもって行いますので、ご安心くださいませ。

当院では、資格を持った専門家たちが皆様のお口の健康をサポートできる環境を整えております。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
歯周病についてもっと詳しく知りたい、歯周病の状態を検診したい、相談したいという方は、お気軽に当院までお越しくださいませ。